升井教授がカンボジア工科大学で特別講義 3日間で延べ600人が聴講 バスロケなど研究成果に関心

2023.12.11

 升井洋志教授兼情報処理センター長が2023年11月20日-22日、カンボジア工科大学(Institute of Technology of Cambodia : ITC)で特別講義を行い、その概要を寄稿しました。

  概要: カンボジア工科大学(ITC)の学生、教員を対象に3つのセミナーを行った。形式は講堂(Conference Hall)での講演形式で、その後質疑応答や個別議論を行った。各セミナーの初めの部分で北見市および北見工業大学の紹介も行い、冬には-20度にもなるカンボジアとは全く違った気候の大学であることを紹介した。

  1日目: 11月20日 14:00-17:00タイトル: Unified bus location system and data analysis in Kitami Institute of Technology内容: 北見工業大学・核科学情報工学研究室で開発・研究を進めているバスロケーションシステム(バスロケ)の紹介と、それによる効果やデータ解析から得られる遅延予測や路線重要度、運行最適化等について議論を行った。バスロケはバスの現在位置をスマホ等の画面上に表示するシステムで、北見工業大学のバスロケは、北見市をはじめ国内の5市町村(北見市、網走市、甲賀市(滋賀県)、掛川市(静岡県)、名取市(宮城県))に導入されている。セミナーでは工学部の学生に向けて、このバスロケがどのようなシステム構成になっているか、多くの自治体に導入できるようにする一般化手法は何か、バスロケがあれば交通および住民の暮らしがどのように改善されるか等について講演が行われた。プノンペン(カンボジア)での公共交通機関はまだまだ発展途上であり、交通渋滞やそれにともなう遅延等、安定運用には課題が多い。ITCの学生はこのことに非常に関心があり、セミナーの内容について聞き入っていた。また、何人かの学生はセミナー後に直接私(升井)のところまで来て「もっとよく知りたいのでセミナースライドをください」と言ってきた。

  2日目: 11月21日 14:00-17:00タイトル: Comparison of Reinforcement Learning Methods and Genetic Algorithm for Cloud Service Optimization内容: 機械学習・強化学習の手法を用いて、アマゾンAWSやMS Azure等のクラウドサービスを効率的に組み合わせて、研究者の要求に最適化されるようなアルゴリズムの研究を紹介した。ITCの学生はAIや強化学習に非常に関心があり、手法の習得とその応用について興味を持って聞いていた。セミナーでは遺伝的アルゴリズム(GA: Genetic Algorithm)にも触れ、どのような状況設定のときどちらが有利となるかについても議論が行われた。

  3日目: 11月22日 9:00-11:00タイトル: Introduction to our laboratory: Information Technology for Nuclear Science内容: 核科学情報工学研究室(Inforation Technology for Nuclear Science)の研究内容全般の紹介と、升井がこれまで専門に研究してきた原子核物理学について、理論、計算手法、結果およびデータサイエンス的アプローチへの応用を議論した。また、セミナー後に原子力工学の研究者やその学生と議論を行い、実験データのデータベース化や分析手法について意見を交換した。

 


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升井教授と記念撮影するカンボジア工科大学の学生ら

カンボジア工科大学の学生に講義を行う升井教授